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ぶらり東海道線の旅 静岡「多可能」「鹿島屋」 [静岡]

1月11日(水)

思い立って静岡に行った。
ここのところ東海道関係に縁があり、訪れてみたくなったのだ。
本によると、良い居酒屋があるようだし。
横須賀から普通列車で行けて、日帰りが出来るのは、このあたりが限度だろう。
大船から東海道線に乗り換える。
連日の寒さに比べ、今日は温かい。
昼下がりの車窓は陽の光に溢れ、旅の気分を盛り上げる。
海の近くを通る時は海を眺め、見えないときは本を読む。

静岡駅に着いたのは、午後4時30分前だった。
北口に出る。
駅前は工事中。
地下道に入る。
チラシを配ってたり、何かを売っていたりしている。
初めての街だが、まあ目的地までは着けそうだ。
最初の店は、西武の裏の「多可能」。
駅から5分。
判りやすい。
年期の入った店構え。
良さそうな感じだ。
中に入ると、実に渋い。
これぞ大衆酒場。
右手がカウンター
左手がテーブル
その奥が座敷。
カウンターの奥に座る。
先客は2人。
楽しそうだ。
カウンターの中には、若いお兄さん。
痩せていて、もみ上げが長い。
ルパン三世みたい。
キリンハートランド生(500円)を頼む。
空気が乾燥していて、ビールが美味い。
ハートランドと言うのが、また良い。
土地柄に合っているような気がする。
お通しをつまみながら、つまみの検討。
「刺身ならほうぼうと金目がお勧め」とお兄さん。
ほうぼう(800円)をもらう。

周りを見渡す。
何もかもが使い込まれ、鈍い光を放っている。
時間と手間の堆積だけが作り出す空気が、有る。
すっぽりとその場に収まれば、とても居心地が良い。
夢の中にいるみたいである。
ビールを飲み終わり、酒にする。
「燗酒2合でください」と注文
「うちはこれでして」とお兄さん。
ガラスの一合瓶を見せる。
「じゃあ、それを」
「はい」
栓を抜いて、目の前に置く。
スクリューキャップではなく、王冠だ。
瓶は何度もリサイクルされているらしく、かなり擦り傷が有る。
ここまで使われれば、瓶も本望にちがいない。
萩錦と書いてある。
地酒なのだろう。
値段は340円。
静岡らしい穏やかな味。
目の前に在る燗着け器につかっていて、注文を受けたら栓を抜いて渡す。
手早くて良い。
「銀次」みたいだ。
ぐい飲みも、銀次と同じ白いやつ。

「いらっしゃい」
カウンターの中に、年配の男性が現れる。
この店のご主人のようだ。
話すと、なんとも言えない味がある。
ブリの照り焼き(650円)を頼む。
お客さんも増えてきた。
高い所においてあるテレビでは、相撲。
隣に座った男性の1人客は、取り組みにいちいち反応している。
大衆酒場には相撲。

だんだん、にぎやかになってきた。
ご主人は、入ってくる客にシラス天(600円)を勧めている。
こちらもいただこう。
日本酒に合う。
勿論ビールでも美味いだろうが。

結局燗酒は3本呑んだ。
なかなか良い気持ちだが、もう1軒行きたいのでお勘定にしよう。
計3520円。

さて、もう一軒。
「鹿島屋」。
昭和通りを行き、東映の先右手。
立派な店構え。
少し気構える。
中に入ると、新しくキレイだ。
左手先の、こじんまりとしたカウンターに座る。
カウンターの向こうは、人が入れるスペースのみ。
調理場は別にある。
右手の壁の上には、壁掛けの液晶テレビ。
これは偏見なのだが、居酒屋に液晶テレビは似合わないと思う。
テレビはあってもいいが、ブラウン管が良い。
燗酒1.5合(580円)を頼む。
つまみはカツオアラ煮(450円)と、黒はんぺん焼き(450円)。
値段は案外安い。

左手奥は板の間。
掘りごたつ式。
にぎわっている。
しかし、どうも落ち着かないなあ。
このカウンターが原因かな。
「居酒屋膝栗毛」の記述とは、だいぶイメージが違う。
すでに酔っ払っているので、燗酒をちびちびやる。
一合半のはずだが、結構飲みでが有る。
一本空けたら、もう満足。
帰りのことも有るし、ここらでお勘定。
計1780円。

好みから言うと「多可能」である。
しかし条件も違うし、一回ずつの訪問では決められないかもしれない。
また来る機会が有るとしたら、逆のコースでも試してみたい。


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